黎明期

132期主将の朝日捷太です。

ボート競技という希有なスポーツに関わった7年間、僕は様々な貴重な瞬間に立ち会ってきました。塾高ボート部では初の関東大会2連覇、付きクォード種目ができてから初のインハイ4位、大学では5年ぶりの早慶戦優勝、18年ぶりの対校エイトメダル獲得、(CXXVの引退レースに積水シールを貼る)。これら全てを体験したのは塾高から一緒にやってきた大下、勝野、下田ではなく僕だけです。4人の中でみても突出した能力はなく、ボート愛もない僕が一番ボートを享受しました。事実は小説より奇なり。終わってみれば、どれだけボートを嫌いになってもオールを握り続けた、艇に乗り続け漕いだこの7年間は決して間違った選択ではなかったと思います。僕はボートの神様に愛されていたのかもしれません。未だになぜ自分がここまで恵まれた経験をできたのかは想像もつきませんが、今のところ優れた仲間と環境のお陰で中々面白い人生を歩めている気がします。

僕は22年間、色々な場所で人と出会い、交流を深めてきました。痛切に感じたことは「欠陥のない人間なんていない」です。仕事・人付き合い・勉強ができて超優秀なのにギャグが壊滅的につまらない人、やれば何でもこなせるのに面倒くさがって周りに迷惑をかける気分屋、見た目は爽やかだけど身の回りの整理整頓ができない惜しい同期。恐らく僕がこの4年間で関わった人のあと数十倍は社会人になったら会うと思いますが、全員何かしら欠点がありました。それを許容できる時もあれば苛つき、呆れ、失望もしてきました。しかしそんな事以上に、その人との関係の善し悪し抜きに一人一人から大切な事を教わりました。「人は人と出会い、別れることで人間性が磨かれていく」、そう感じました。今後の様々な巡り会いも、一期一会の精神で人と関わっていきたいです。

この4年間、僕の中で決して揺るがなかった信条があります。
「どのみち後悔するのであればせめて自分で選択して後悔しろ」
生きる事は選択の毎日です。一日に何回しているか分かりません。無意識的、直感的に選択することもあれば、仲間と議論を交わし、熟慮して選択することもあります。必ずしも毎回正しい選択をできません。時には間違っていると分かっていても、誤っている方を選ぶこともあります。もしかしたら、その選択に正解はないのかもしれもせん。何が正解だったかが分かることもないのかもしれません。選択をすれば程度の大きさはあれ、必ず後悔します。
だからこそ、行動に移す前の決断は自分で下した方がいいと僕は考えています。仲の良い友人が親身になってアドバイスをくれる時や、自分の事なんて何も知らない大人が宣うこともあります。正解が何かを「考える」過程で様々な介入があります。しかし、最終的な選択の先の結果は自分が負わないといけません。他人が「完璧だ」といってそれに流され、自分では納得してないけど実行したら結果は全然ダメだった経験は皆少なからずしたことがあると思います。その時の感情を思い出してください。「物凄い他人のせいにしたい」、「何でもう少し自分で考えなかったのだろう」、「この後始末俺が対処するの?」等のやり場のない悔恨が残ります。人によってはそれを長い期間引きずることもあります。自分で決断すれば後悔したとしても、割り切れます。後悔している時間はグッと縮まります。それがとても重要です。同期の佐藤晴信も言っていましたが、下を向いている時間はとてつもなく時間の無駄です。学生・社会人関係無く、とにかく前を向き続け、試行錯誤を繰り返し、刺激を受け続けることが何よりも肝要だと思います。とても簡単なことです。人生を楽しむ方に労力を費やしましょう。

僕は前向きな性格なのでこれからの「朝日捷太」という物語の主人公がどのような人生を綴るのか想像すると、少し胸が高鳴ります。社会人になっても自分らしさは失いたくないです。

最後になりましたが、慶應義塾高校端艇部の黎明期、慶應義塾体育会端艇部の黎明期に立ち会えた事は僕にとってこの上ない財産であり、石田率いる後輩達が後世へと強い慶應を繋いでくれると確信しています。何も心配していません。
主将らしく激励を飛ばして終えたいと思います。

自信を持ち続けろ!

慶應義塾體育會端艇部132代目主将
朝日捷太

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