後悔先に立たず

 

 

 

 

 

待っていた人はこんにちは。

待っていなかった人も、ブラウザバックは控えて暫しお付き合いください。慶應義塾大学體育會端艇部129期主将の髙崎です。

何か楽しいことでも書こうと思ったのですが、せっかくなので自分語りをしようと思います。

 

思い返せば、こんな”仰々しい”肩書きを頂いたのも丁度去年の同じ頃でした。

圧倒的な実力を持ち、経験豊富でエネルギーに満ち溢れ、何よりボートを心から愛していた先代内田主将。

そんな偉大なる内田先輩から引き継ぎ、手渡された主将という役職は僕にとって、結局最後まで『荷が重いもの』でした。

 

これまでの人生において受け身の姿勢をとり続けた積極性の欠片もない僕が、部を率いなければならない。

体が大きいだけで知識も経験も少なく、大して上手くもない自分が、荻野さんと、根本さんと、山本さんと、航さんと、中田さんと、内田さんと同じ場所に立たなければならない。

誇らしい気持ちがありました。喜びがありました。過程は何にせよ選ばれたという事実に、今後部のトップを名乗れる事実に、承認欲求満たされちゃいましたよって感じでした。

だけどそれ以上に、不安がありました。

だって僕が今まで頑張れたのは、きっと期待値が低かったから。

「意外にやるじゃん。」そんな評価しかもらえない僕が最も苦手とすることこそ、きっと「期待に応える」ということだったのでしょう。

書いてて悲しくなってきました。しにたい。

 

そして朝比奈に何度も聞かれた、「お前はどうしたいの?」という問い。どうすればいいのかではなく、僕がどうしたいか。

人に未来はわかりません。だからこそ、局所的な正解が長期的に見て正解でないことがザラにあるからこそ、”なんとなく正解っぽい選択肢”ではなく”自分がやりたい選択肢”を採るべきなんだということを朝比奈は教えてくれました。

 

同期の誰から見ても、後輩の誰から見ても、きっともどかしくて苛立つような姿が多かったことでしょう。自分が何をしたいのかも分かろうとしないまま色々なことから逃げて、臆病に不完全で幼稚な”それっぽい選択肢”を選び続ける姿に、失望と怒りを覚えていたことでしょう。

太宰治風にいうと、恥の多い1年を送ってきましたって感じです。

 

そのツケを支払わされたのが、9月のインカレでした。スイープチーム全艇が2日目で敗退、スカルチームも3日目にて全種目が散ったのは、きっと、いつまでもいつまでも忘れたくても忘れられない。

どうしていいのかわかりませんでした。覚悟しているつもりだったはずの後輩からの評価も言葉も、同期からの呆れたような目も。自分自身のやってきたことと、やらなかったことの清算なんだと思いました。

自分の中で決めたはずのことが揺らいで曲がって圧し折られて、試合後からほとんど何も口にできないまま2000m測定を行なって、家からほとんど出ない5日間のオフを過ごして、艇庫入りして、どこかふわふわした状態のまま選考期間に入って、そして気づいた時にはもう、対校エイトに僕のシートはありませんでした。

当然ですね。この部が1番勝ちたい、勝たなければならない艇に覚悟の足りない中途半端な選手など必要ありません。ましてやクルーリーダーなんて務まる筈もない。

だからきっと、全日本選手権で僕の乗らない対校エイトが敗者復活戦で勝ち上がったのは必然だったのだと思います。日本大学の棄権があったからとかそういうのは関係ありません。

自身の乗るM4+の敗北を受けた後に、勝利に喜ぶ対校エイトの面々を見て思ったことは、その場に自分がいないことへの怒りよりも「僕じゃなかったんだ」という妙な納得感でした。新人戦も、早慶戦もインカレも負けさせてきた僕は、きっと初めからトップクルーには必要なかったのかもしれません。

 

 

申し訳なさと、後悔ばかり残る1年間でした。

 

それでも付きフォアの3番として挑んだ最後の2ヶ月間は、4年間でトップ3の中に入るほど楽しい時間でした。練習を心から楽しめたのは早慶戦ぶりで、陸でも水上でもやりたいようにやらせてもらいました。昨年に同期から唯一2人で対校エイトに乗って、先輩方の無念の引退を共に味わったタカトラと同じクルーになれたのは何の幸運か。2人で最後の最後まで楽しんでトライし続けることができました。

後輩を勝たせるのは先輩の仕事なんだと仰られていたのは、2年前の廣橋さん。

最後の最後のクルーで、近い将来に確実に部の根幹と成り得る鍛治田・王田・向井と漕げたことをとても光栄に思います。なけなしの経験と技術を伝えたつもりではありますが、勝たせてあげられなかったことが何よりの心残りです。

 

 

 

 

はい。

ここまでご覧になってくれてありがとうございます。実はここまでの文はほとんど試合に負けた夜と土曜に書いたやつなんですね。

 

なんか読み返すとネガティブがすごいです。自虐もひどい。でもこんなんしか書けませんでした。書いちゃいけないこととか書くべきこととか色々考えてたんですが、やめました。最初から最後までつらつらと頭の中に浮かんだ書きたいことだけ書いてあります。

打ち上げである程度スッキリしましたし、引退して1週間以上経った今としてはまあここまでネガティブになってるわけでもないので全部消して書き直そうとしたんですが、本音で語ろうとすると結局こんな感じ↑になるのかもと思いましたのでそのまま載っけときます。

 

引退して10日経った僕からは、アドバイスっぽいお願いを。

 

ホワイトボードにも書いた、感謝・謙虚・誠実の3つ。早慶戦のミーティングで麓が言った言葉です。

この3つを絶対に忘れないようにしたまま、みんなの心の中の奥にある、1番大事な目的に通ずる「欲望」をどんどん大きくしていってください。

 

目的とか目標とかこの1年間でよく聞いたと思いますが、目標とは基本的に目的のためのステップです。

例えばお金が欲しいとしましょう。だけど普通、お金というものは何かを買うためのもの。お金が欲しいのなら、きっとお金で買いたい何かがあるってことです。

そうです。プレステ4とスパイダーマンですね。ならばこの場合の「目的」とは、テレビの前に座って、自らの操るスパイダーマンでオープンワールドを駆け巡って楽しむこと。バイトを始めるとかお金を手に入れるのはそのための目標の1つでしかありません。

 

この部のみんなは本当に頭が良いです。どいつもこいつもめっちゃ考えてる。小賢しいと言ったほうがいいかもしれません。

だから色んなことに気がつくし、気がついたら全部試したくなってしまう。そしていつの間にか、お金を手に入れるためにお金を手に入れようとしていることがよくあります。

 

陸でも水上でも障害ばかりのこのスポーツをやる上で、自分がなんでこの部にいるのか、何がしたくてここにいるのかを忘れないようにしてください。

そしてその目的への思いが強ければ強いほど、その目的に至るまでのどこかに必ずある「勝つ」という目標に傾けるエネルギーが大きくなります。

この思いの強さ、なんていう曖昧な物が滅茶苦茶モノを言うのが学生スポーツの醍醐味だと思うのです。

 

感謝を忘れず謙虚な姿勢で、全ての物事に誠実に。そして何よりやりたいことにエネルギーを全部注ぎ込む、アツい現役生活を過ごしてください。

もう岸から応援しか出来ない身ですが、心からみんなの勝利を願ってます。

そしてこれまでの僕の10年間のボート生活に関わってくださった全ての人たちに、深く深く感謝いたします。何物にも代え難い充実した時間でした。

本当にありがとうございました。

 

 

支離滅裂・情緒不安定になってしまいましたが、別にいつもと変わらないですね。

129期、本当に楽しかったです。

ではまた。

 

次は新井くん。

お待たせして申し訳ございません。

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